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花魅
DATE : 2010/02/02 (Tue)
No.18    【お題】第12回
 あと数十分で新しい年となる頃、新年を祝うために集まっている人々の声が行き交う雑踏の中、シアンたち3人組も仲間と祝うために外へ出ていた。
 吐息が白く、冷たい空気へと溶ける様を呆けながら見ているシアンへ艶やかな薔薇柄の着物を着た紗那は肩に掛けていたファーを巻き付けてあげて、隣に立っているロゼを見上げると確認するように声を掛けた。

「待ち合わせの場所、此処で良かったんですか?」
「乙女は着替えるのに時間がかかるのヨ。あ、噂をすれば来たみたいネ」

 長身のロゼが手を振ると、ある者はその美貌に目を奪われ、ある者はロゼの低音に男だったのかと青ざめ、自然とロゼの周囲が開き、待ち合わせをしていた仲間たちの姿が背の低いシアンでさえもよく見えた。

「遅くなってごめんなさいね。ロゼ…は良いとして、シアン君もこういうときくらいお洒落してきたっていいのに」

 赤いファーのついた華やかな外套を肩にひっかけて、見るからに寒そうな黒のドレス姿のスピネルと、ひたすら豪華なレースのついた純白のドレス姿の薔薇姫がやってくると、別の方向から透き通るような高い少年の声と、それを制止するような穏やかな声が聞こえ、また別の人垣を掻き分けて品のある深い緑色のワンピース姿のユアと高級そうな燕尾服を着てシルクハットを被ったガイアが現れた。

「も〜凄い人だらけだから時間かかっちゃった!シアン待った?」
「…別に」
「ユア様、外套を羽織って下さい!風邪をひいてしまいますよ!」

 寒さに耐えているシアンにユアは抱きついて、そのまま勢いでクルクルと回っていると、その姿が愛くるしく見えたのか誰かの声が聞こえた。

「あら可愛い恋人さんたちね。今日のイベントに出るのかしら?」


「やーんシアンとユアはお似合いの恋人だって!」
「…飛躍がすさまじいな」
「オバカは放っておいて、イベントってなにかしら?」

 恥じらうユアなど無視してロゼが不思議そうに小首を傾げると、妹が何やら楽しそうな表情を浮かべて一枚の紙を差し出した。
 ひょいっと全員がビラへ顔を覗かせると、そこには【今宵の美男美女、一番のベストカップルは誰だ!賞金もでるよ!】というフレーズがデカデカと印刷されていた。

「多分これのことだと思うの。ねぇ、お兄様?姫と一緒に_」

「その賞金アタシが貰ったぁあああッ!」

 妹の手からビラを取り、ロゼが叫ぶとスピネルと薔薇姫は恥ずかしそうに、スピネルに至っては、ほんのり頬を赤く染めて口元を緩めた。

 なにしろ美男美女なのだ。女装をやめればロゼは美男になるのだから、隣にいるべきの「美女」は勿論…と、隣のライバルへと視線を合わせた。

「妹は大人しく引っ込んでなさい。ね、妹さん?」
「その年齢ですと体が冷えるでしょう?座っていらしたらおばさん?」

 バチバチと火花どころか血の雨が降ってもおかしくない女達の鬼のような目を見てしまったシアンとユアは何かを言いかけて固まってしまい、間一髪視線を逸らしていた紗那は震えそうになる声を抑えて両手をあげた。

「ま…まぁここは穏便に_」

「ガイア、アタシたちで賞金勝ち取るわよぉッ!」
「…は?」

「「へ…?」」

 会場へと無理矢理ガイアを引っ張り暴走していくロゼの姿が次第に見えなくなり、残された者達は衝撃からまだ立ち直れないでいた。
 持ち上げた手の置き場に困った紗那は、手首を左右に振って見えなくなってしまったロゼへと向けて重い口を開いた。

「…あの馬鹿オカマ、自ら墓穴を」

「お兄様…コロスコロス」
「あの馬鹿殺す」

「が、ガイアが連れ去られちゃった!?シアン、僕たちも行くよ!」
「…もう好きにしてくれ」

+++

「お次は異色カップル!ワイルドでエキゾチックな剣士と美少女巫女さんだぁ!」

 目に痛い蛍光ピンクのスーツを着た司会者の声がかかり、会場の拍手を受けて、黒の袴を着た男と一目で偽物だと分かる巫女装束を着た美少女がステージを歩いていた。美少女は楽しくて仕方がないような表情を浮かべていたが、男は対照的に口を一文字に結び、憮然としていた。

「…おい。どこに敵がいるんだ。ど・こ・に!」
「他のかっぷるが敵じゃ。やっつけるといっても真剣勝負とは言っておらんぞ?なに、新年のお巫山戯ぐらい良いじゃろう?」
「騙された…こんな馬鹿に騙された…しかも阿呆な巫女姿だし」
「よう騙されるお主様に馬鹿呼ばわりされとうないわ」

 ステージ裏で、人間よりも性能の良い耳をもっているガイアは前のカップルの囁き声をしっかりと聞いてしまい、自分の他にも無理矢理連れて来られた人がいることに半ば同情し、隣で熱心に化粧直しをしているロゼに視線を移すと溜息を吐いた。

「なんで美女と美少女が身内にいるのに自分が『美女』になろうと思ったんですか…」
「アタシが一番綺麗に決まってるからよ★」
「眼科医を紹介しましょうか?それとも脳外科医がいいですか?」

 日頃シアンや紗那が冷たくロゼに暴言を吐いている気持ちがよく分かると思いながらガイアが口を機械的に動かしていると、コンパクトミラーを片手でパタリと閉じて、ロゼは桃色に塗った長い爪をガイアの唇に押しつけてニヤリと艶美に笑った。


「もう。ガイアもアタシと並んで歩いても全く見劣りのしない美男子ヨ?ほら、ユアちゃんに自慢できるっしょ?それにアタシも自慢できるし賞金もらえるし」
「ロゼさん、本音しか漏れてませんよ?」

 さぁお次は飛び込み参加の長身カップルの登場だ!という司会者の馬鹿でかい声が聞こえ、ロゼは鳳凰の刺繍が入った赤紫色のチャイナドレスを翻してガイアの腕に抱きつき、ガイアは長い溜息を吐きながら観念したようにステージへと上がった。

 眩しいライトを浴びて、ガイアは目を細めるがロゼは慣れた様子で若干ガイアをリードしながらステージを優雅に歩いていく。その姿にロゼたちを知らない観客達は拍手を送った。
 長身であることで一層モデルのように華やかで、会場は既におめでとう等と優勝したかのような声まで聞こえている。


 しかし、その盛り上がりに水を差すように甲高い女の声が谺した。


「こんのッませガキッ!ブラコン娘ッ!」
「よくも!ツンデレ女のくせに!未だに告白できない弱虫ッ!」

 突然の乱入に驚き制止しようとした会場のスタッフの頬をスピネルが裏拳で殴り、薔薇姫が細い脚を上げて別のスタッフを地面に叩き落とした。

「お兄様、私とスピネルどちらも選ばないなんて許さないですわ!」
「そうよ!あんたを血祭りにあげなきゃ新年が始まらないのよッ!」

 長身の美女に迫る可憐な美少女と冷たい雰囲気を纏う美女…という奇妙な三角関係にメロドラマな展開がきたと会場が色めきだっている中、ロゼの拘束から解放されたガイアは燕尾服の裾を引っ張られて振り向くと、そこには下を向いて震えているユアが立っていた。

「ユア様?まさか風邪ですか!?これを着て下さいッ!」
「…ガイア。寒い」

 すっかり冷えてしまったユアの小さな躰を抱き上げてガイアは自分の上着を脱ぐとユアの肩にかけて、まだ下を向いているユアの頬の近くでユアの名前をもう一度呼んだ。

 その様子は角度によっては口吻をしたように見えて、会場の混乱の最中呆然としていた司会者は自棄になったのかガイアとユアを指して叫んだ。

「波乱がありましたが、飛び入り参加の甲斐甲斐しい美男と薄幸の美少女が今回のベストカップルだッ!…あ、やめて!そこ、スタッフに乱暴はしないで!」


 司会者の悲鳴が新年をちょうど迎える花火の音と重なり、会場の空に色とりどりの光の花が咲いた。

 その花火の音を合図に、蝋燭の入った小さな気球を人々が空へ放ち始めた。

 蝋燭の揺れる光が気球を仄かに照らし、ゆっくりと夜空へ吸い込まれるように上がっていく様はどこか神秘的に見えた。
 ガイアの体温で暖まったユアはその不思議で神秘的な光景を目に映しながら新年の挨拶のキスをガイアへとした。

「今年も、これからも、1人で何処にも行かないでねガイア?」
「絶対にお傍を離れません…これからも、ずっと」

 さぁ、新しい年の挨拶をしよう_

 小さなくしゃみをしながら僅かに笑うシアン、いつも通り穏やかに口元を緩めて軽いお辞儀をする紗那、ロゼを引っ張り合いながら手を振るスピネルと薔薇姫、二人に引っ張られ困ったような顔をしながら片手を上げて挨拶をするロゼ。
 いつもの仲間達へ、ユアはガイアと片手を繋いだまま空いている手で大きく手を振った。

「僕らも空に気球飛ばさなきゃ!ガイア、用意はいいよね?」
「ええ、ばっちりです。皆さんの分も抜かりはありません」

「よし、それでこそ僕の従者だ!…ってね」


+++

 年始めの私のターン!ということで、もうリアルでは2月ですが新年話にしてみました。
 新年だから主人公以外は皆、お洋服に気合いが入っています。
 お洋服に気合いが入っています。大切なので2回言いました(笑顔)

 それでは後は任せたぜ!

  




黒壱吾
DATE : 2010/01/24 (Sun)
No.17     【お題】第11回

IMG_000017.png ( 242 KB ) by Upload
ユアちん を フルボッコ に してみた。ちょっとやりすぎた。ちょっと反省している。

ちなみに軍服編なユアです。頭の上の手は誰なんだろうね。
1回目からちょうど10回経ったので原点回帰のつもりで描いてたんだけど
むしろハードルMAXまであがりました。\(^o^)/
ヒントになるかもしれない素材を置いておくよ。

(´・ω・)っ ガイア様の余興
(´・ω・)っ 拷問中
(´・ω・)っ 奴隷市場に出されて買われた

後はよろしく!!┗(^o^ )┓三

  

花魅
DATE : 2010/01/29 (Fri)

 滑らかな床に触れる肌が、あまりの冷たさに跳ねている。衣類を剥ぎ取られ、剥き出しの背中が床に押しつけられ肺に残っていた空気が薔薇の蕾のような唇から全て吐き出され、凍り付いた室内の空気を取り込もうと反射的に喘いだ。

 奴隷として路地裏から連れ出された事実がまだ認識出来ていない少年の裸体を舐め回すような卑しい目で見下ろした売人は今まで見目の良い子供たちを売って稼いだ金で買った指輪をつけた指で少年の蜂蜜色をした髪を鷲掴み、引き摺り上げた。

 連れ去るときに使った薬がまだ効いているというのに、少年は精一杯男を睨み付けて唾を吐いた。

「このッ_」

 糞餓鬼がッと少年の瑕1つ無い頬を殴りつけると口の中を切ったのか唇から唾液混じりの血が溢れ、それでも男の怒りは収まることなく形の良い鼻を、まだ睨み続けている生意気な目を、幾度も殴り続けた。

 殴り続けて血が滲む指の痛みで、男はようやく殴るのを止めて商品である少年を地面に叩きつけた。
 売人の頭の中には、この少年が上玉で傷をつけることを止めなければ値段が下がるという考えがあるのに、殴りたくてたまらない衝動が襲っていた。少年の猫のようなエメラルドの瞳が絶望の色に染まるところが見たい。その想いが男を加虐の心で満たしていく。

 少年は腫れて半分しか開かない右目で男を睨んでいた。否、睨むことしか出来なかった。
 既に両手、両足は拘束されていて生理的な涙や鼻水が流れているのを止めることが出来ない今、彼に残されていたのは暴力に屈しない心だけだった。

 一方的な暴力の嵐が止み、痛みと熱と冷たい床の感触に耐えて縮こまった少年の肩に男の手が掛かり、また殴られると思って少年が顔を上げると、そこにはゾッとするような表情を浮かべた男の顔があった。
 男が自らのズボンを下ろす音が無音の部屋に響き、これから何が起ころうとしているのか本能的に理解した少年は殴られていた時より更に青ざめた表情を浮かべて首を左右に激しく振ると、男の手から逃げようと体が跳ねた。

「ヤッ…やだぁッ!」

 拘束具の革が柔らかい皮膚に食い込み、じんわりと血が滲むのも構わず、叫ぶたびに殴られ、悲鳴が途切れ途切れになっていく。
 空中に伸ばされた脚は大きく左右に無理矢理開かされ関節が厭な音を立てる。
 湿った男の体温を内股に感じて少年は涙を流して体を振るが、男の目には物欲しそうに強請る卑猥な動作にしか見えていなかった。
 体臭のキツい肉の塊が少年の秘所にあてがわれ、ゆっくりと体を少年の薄い体に寄せようと折れてしまいそうな華奢な腰を掴み、男は少年の一際甲高い声と軽い衝撃を体に感じた。


 体の奥が裂かれていく恐怖に少年は涙で滲んだ瞳を最大限に開いて、パンッと乾いた音を聞いた。


 空気を裂く乾いた音は男の動きを永遠に止めた。


「人身売買はこの国では死刑だ」


 抑揚のない淡々とした硬質の声が途切れると、額に穴が開いた売人が少年のすぐ傍にグシャリと生々しい音を立てて崩れ落ちた。
 自分の血と男の血に染まった少年は体を動かして少しでも男から離れようとしていると、カツンと音を立てた黒いブーツの先が視界に映った。


「死にたいか?それともまだ生きたいか?選ばせてやろう」

「ッ_」

「生きてもどうせ地獄だ。大した違いはない」

 薄い唇から紫煙が吐き出され、金と銀の瞳が涙と鼻水と血にまみれたちっぽけな少年を映している。


 痛みとまだ収まらない恐怖の中で、その金と銀の瞳はとても美しく尊いもののような気がして、少年は歪に曲がった指先をゆるゆると血だまりの中から伸ばして、玲瓏な声の主に相応しい銀の髪を触り、意識を手放した。

「地獄より俺を選ぶのか?…貴様はつくづく運がないな」

 
 力を失って再び床に落ちかける少年の小さな手を握り、青年は酷薄な笑みを浮かべて、少年を血だまりの中から抱きかかえた。
 今にも消えてしまいそうな小さな命を胸に抱えて、黒の軍服に身を包んだ青年は血に染まった白い手袋を捨て、少年の唇についた血を拭うと囁くような声で意識を失った少年へと告げた。


「お前が俺を選ぶなら、今日から俺はお前の主となろう。…お前が死ぬまでな」

+++


無茶しやがってッ!

流血とか文章より絵の方がダイレクトに伝わりますね。
身をもって証明してくれてありがとう。そして、どうしてこうなった?(笑顔)

軍隊編はもうてっきり消化したと思っていたのですが、こうして今年も復活しました…それもこれも私らが軍服スキーだからだとおもいます。


次回、おぼえてやがれ!(何)





黒壱吾
DATE : 2010/01/10 (Sun)
No.16    Re: 【お題】第10回
恋でもない、愛でもない、もっと浅く、軽い・・・。
PSP専用 ヲトメ向けラブコメディゲーム・Black Flower。
かみんぐすーん!(大嘘)

今年最初の投下ということで全力で遊んでみました。
2010年も自重せずPlayしていきたい所存です。(`・ω・´)キリッ
というわけで、1月まるっとお待たせしました。花魅たん、毎度ながらのステキな振りをありがとう!

  




花魅
DATE : 2009/12/07 (Mon)
No.15    【お題】第10回
「おはよう。お姫様」

 そう耳元で囁くのは目を瞑っていても誰だか分かる。
 ダークレッド色の髪を後ろで一つに束ねた美青年だ。

 そして重い瞼を持ち上げて溜息を吐く。
 フリルの入った豪華なエプロン姿が似合うのは、この人。我が兄以外いないだろう。
 並の男ではこうもフリルのエプロンが似合わない。または見たくない。

 
 溜息ついでに挨拶をすませて、リビングに向かい兄が作ったお弁当を鞄の中に詰め込む。
 再び自分の部屋に戻り、きちんとアイロンのかかったシャツを羽織り、学年ごとに色が違うエンジのリボンを首元で大きく結い上げ、少しだけ短いプリーツの入ったスカートに着替えて最後の仕上げに色付きのリップを唇に乗せ、駆け足で兄の待つ玄関の外へ飛び出す。

「うん。今日も可愛いわよ」

 兄じゃなければ…と毎度のように思うが口には出さず、微笑みだけ返して車の助手席に座る。

 私が通っているのは私立ではない。

 普通の県立高校だ。
 普通の男子学生や女子学生が徒歩や自転車で校門へと向かう中、私だけ真っ赤なスポーツカーで登校する。
 さながら、登場とでもいったほうがいいかもしれない。

 兄の少し強引な運転のおかげで早めに登校できたようで、周囲にはまだ生徒がまばらだった。

「じゃあ終わったら連絡頂戴ね?」

 兄はまだ大学生だ。当然、授業も高校の終わる時刻より遅いのだが、妹最優先と言われてしまっては悪い気がして早めに帰ったためしがない。

 ドアを開けて、運転席側に回って分かったと渋々頷くと、兄はサングラスを少し傾けて、菫色の瞳で此方を見上げてきたかと思うと、窓から身を乗り出して私の頬に接吻をしてきた。
 軽い音と共に素早く離れると、兄は笑みを浮かべてサングラスを掛け直した。

「お兄さまの我が儘に付き合ってよ。ね?」

 遠くから黄色い悲鳴が聞こえてくる。
 兄は無駄に美形だし、その動作もなにもかも文句のつけようが無い程恰好いい。
 しかし彼氏ではなく、兄だと訂正するこちらの身にもなってほしい。

 とにかく、大きく頷いて手を振って校門をくぐると、そこに立っていたのは生徒会の生徒と生徒会長だった。
 顔見知り、というか同じ生徒会に所属しているので仲良しといってもいいぐらいの2人だが、なぜか2人とも朝から不機嫌そうだ。

「朝から鬱陶しいですね。あの男は…」

 銀髪の少年は兄が数ヶ月間、家庭教師をしたことがある関係で、前々から兄との仲の良さは知っている。

「いくら身内だからってキスすることもないでしょうに。貴女も、もうお年頃なんですから嫌なものは嫌だと言わないと…」

 兄が好きだから大丈夫だよとは言いにくい状況だ。
 隣では(身長のことを言うと怒る)可愛い小さな美少年が金髪を揺らして口直ししようと駄々をこねている。

「口直し〜!!」

 頬の同じ場所に接吻をしようとする生徒会長はとても可愛いので非常に扱いにくい。
 すると後ろから生徒会長の首根っこを掴んで、眼鏡をかけた黒髪の少年が現れた。

「今日も派手な登校だな…」

 否定できないので笑って誤魔化すと、少年は薄く口元を緩ませて片手を差し出してきた。


「今日から週番、一緒だろう?教室に一緒に…」


 朝の挨拶運動として生徒会から出ている2人を校門に置いて昇降口へと向かい
話していると、階段から下りてきた先生と出会った。

「ああ、おはようございます。今日も可愛いですね。…シアン君、睨まないで下さい」

 担任の先生は女子に人気のある先生で、優しいというか甘いところがとてもある。
 オッドアイに穏やかな口調、綺麗めな容貌も相まって密かにファンクラブまである。

 そんな先生が吐息がかかる距離まで近づいてきて細く長い指が頬に当たった。

「白目が青いですよ。貧血気味ですかね…」

 長い睫だなぁと先生の整った顔を思う存分眺めながら、曖昧に頷き、週番だからと理由を付けて少年と再び教室まで歩き出して、ふと思いついた。

 ああ、まるで女の子なら夢のようなポジションにいるんじゃないかしら?

「…どうした?」

 立ち止まった私を心配そうに見つめてくる少年を眺めて、やっぱりと思う。

 いろんなタイプの男の子がいて、どの人も美形で、誰もが私に好意的。

 だけど、私は「  」


「ねえシアン。お願いがあるんだけど…」

 そう言うと、珍しそうに瞳を細めて少年が先を促す。

「刺されそうになったら助けてね?」

「…無論だ」

 突然の言葉にも動じず、少年は是と頷くと、教室の扉に手をかけて口を開いた。

「どこにいようが助ける。…きっとな」

 やはり、いつ誰に刺されても文句が言えそうにない気がする。
 それでも悪い気がしないのだから、始末に負えない_

+++

乙女ゲームのつもり。
格好いいメンズが揃ってるんだから、ここは1人のオンナノコを巡って争って欲しいとおもったり。

記念すべき2桁目がコレですが、壱吾たん任せた!

  




黒壱吾
DATE : 2009/11/29 (Sun)
No.14    【お題】第9回

IMG_000014.png ( 187 KB ) by Upload
「ボクは好きだよ、ガイアの目・・」
「貴方だけでも、そう仰ってくれるなら…私は倖せです」

------------

生まれつき持ったオッドアイで村八分にされるガイアたん・・っていう感じ?
断片的なシーンだけ作って丸投げって言うお題の振り方っていう。ね。
あとはお任せします><

  

花魅
DATE : 2009/11/30 (Mon)

 いつか、この澄んだ瞳に拒絶されるのかと想うと胸が痛い。

 心が壊れる前に、全てが破綻する前に、いっそ_


「ガイア、ガイア!」

 ゆったりとした淡雪色の着物をはためかせ、腰元で揺れる金色の帯が子供らしさを醸し出している少年が自分の名を楽しげに呼んで駆け寄ってくる。
 少年の白とは対照的な漆黒の着物の袂を揺らし、長い蒼銀色の髪を纏めていた朱色の髪飾りを解いている途中だった青年は指を止めて、躊躇うことなく少年を抱きとめた。

「今日も楽しいことがありましたか?」

 一陣の風が吹き、朱色の紐は空中を踊るように流されていく。
 風に煽られて、青年の蒼銀の髪と少年の蜂蜜色の髪が揺れ、互いの双眸がよく見える。

 金と銀の瞳に緑の双眸。

 人として異端である証を少年に見せまいと、青年は瞼を綴じた。

 いつか、大人に聴かされるだろう。
 異端、禁忌、触れてもいけない、見てはならない存在を知るだろう。

 その時、「彼」はこうして何の躊躇いもなく腕の中に居てくれるだろうか?

 時が過ぎる毎に不安と焦燥が胸の奥深くに燻り続ける。

 今でも、こうして二人きりで会って話をするのも人目が無い所だ。
 誰も近づくことのない野草が生い茂る場所。

 異端の青年に与えられたのは村の外れにある最低限生活できる場。
 身に纏うのは遠目からでも良く見えるように穢れた漆黒。


「ねぇ、ガイア。瞳を開けて」


 強請るユアの言葉に、ガイアは正直にゆっくりと瞳を開くとユアは見ている此方までも頬が緩んでしまう甘い笑顔を作っていた。

 だから、そんな表情を見ていると仄暗い感情が胸の奥で胎動し始めるのだ。

 疎まれるのなら、避けられるのなら、いっそのことその前に。
 その細い白い首へ手を掛けて、ほんの僅かの間の圧迫でいい_


「ガイアの目、すきなの」

 少年の華奢な鎖骨から首へ伸ばした手は、少年の言葉に含まれた意味を感じ取って冷たく強ばった。

「ボクは好きだよ、ガイアの目…」

 もうその瞳の意味は知っているよ。
 そう言外に含ませて、ユアは全身の重みをガイアへと預けた。

 その姿は無防備で、ガイアに何をされても構わないと訴えているようだった。

 ゆっくり、強ばった指を動かして青年は更に腕を伸ばして少年をきつく抱きしめた。

「貴方だけでも、そう仰ってくれるなら…私は倖せです」

 今の胸から湧き上がってくるのは冷たい塊ではなくて、もっと凍てついた心を溶かしてしまう熱。
 目の奥が熱くなって、青年は目蓋をきつく綴じて少年の名前を幾度も呼んだ。
 それに応えるように少年も何度も青年の名を呼んで抱きつく力を込めた。

「ああ、身体が邪魔だよ。もっと、もっと傍に居たいのに」

「本当に、溶けてしまえばいいですね_」

 愛していると口にすることはなく、ただ互いの体温を貪るように指を、手を、互いに絡ませて態度で全て伝えられるように。

 明日が来ても、この愛しい人を失わないように。

+++

アナザーが物凄く気になりますが、こちらを選びました。
昨日の今日という更新記録ですが…笑

念願の10回目はまた暫く空いてしまうかもしれませんが、年内に2人で完成出来るよう頑張ります!





黒壱吾
DATE : 2009/11/03 (Tue)
No.13    Re:【お題】第8回

IMG_000013.png ( 267 KB ) by Upload
「んもぉ、つめたいんだから〜」

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正夢なら正夢で・・とふと夢でのシアンを冷静になって思い返したロゼが取った行動。
おもむろにウィッグをシアンにかぶせる

鏡で見せつつ、似合うんだからオカマWAY(何)にいらっしゃいよと勧誘

冷たくあしらわれる

ロゼのパジャマはもちろん少女趣味なんだと思うんだぜ!
ちょっと遅くなってしまったけどほのぼのホラーなお題をありがとう。花魅たん(*´`*)。

  




花魅
DATE : 2009/10/21 (Wed)
No.12    【お題】第8回
 暖かい湯気と、いつまでも絶えることのない水の音が流れていく。
 空気は少しばかりヒヤリと冷たい。
 周りは赤く色付き始めた木々に覆われていて、絶景である。

 其処はどこからどうみても、立派な天然温泉だった。


「うっわぁ〜綺麗だねスピネル!」

 ぱしゃりと音を立ててお湯の中に先に入って泳ぎ出す少女の足を掴み、スピネルと呼ばれた美女は少女へ行儀が悪いと言いながらも、少女の先程の言葉に頷いた。

「そうね。やっぱり天然の温泉って良いわよね」

 日頃のストレスで荒れてしまった肌もツルツルになればいいのに…と呟いて美女は美しい曲線を描いている己の身体をお湯に沈めた。

 そんな美女をジーッと眺めて、少女は自分の身体と比べてひっそり溜息を吐いた。

「姫もスピネルみたいにおっきくなれるかなぁ?」

「胸なんか別に何もしなくても大きくなれるわよ?」

 そんなモンより、やっぱり10代の肌は水の弾きが違うわよねぇとスピネルはスピネルで、10代の少女と20代後半の自分の肌と比べていた。
 瑞々しい少女の身体と手入れをしないといけない自分の身体…美女も悩みがあるのか溜息を吐く。

「スピネルは、その…Gくらい?」
「そこまでいかないって。FよF。まー、体重の増減で変わっちゃうけどね。…そういう姫ちゃんもなかなか大きい方じゃない?」
「や。くすぐったいってばスピネル!」
「ほらほら〜」

「もう二人ともったらvちなみにアタシはBカップぐらいヨ」

 キャッキャと黄色い声の中に、異色の声が混じった。


 少女と美女は互いの身体に触っていた手を止め、声の主を凝視する。

 2人の間に入るように、そこには意外と筋肉質の体つきの良いオカマが居た。

「この変態が…何処から沸きやがったッ!」

 美女の重いストレートが決まり、何かを吐きながら空へ打ち上げられたオカマは重力のおかげで少し離れた湯の中へもう一度大量の水飛沫を上げて落ちてきた。


「もう。お兄様ったら、はしゃぎすぎですわ」

「だって〜こういうの初めてじゃない?アタシだってはしゃいじゃうわヨ」

 いつもよりダメージが少ないのか、ヒョイヒョイと泳いで再び戻ってくるオカマに少女は笑いながら湯に浮かべていた桶を投げた。

 ヒュンッと風をきる音を立てながら光速で放たれた桶が頬を掠めて木々にぶつかり、バラバラと壊れていく音を聞きながらロゼは青ざめた顔で自分の妹を見下ろした。

「ひ、ひめちゃん?おにいさま、そんな桶当たったら死んじゃうかもよ?あははは?」
「…ちっ」

 俯いて舌打ちをする少女は決して自分の妹なんかじゃない。これはなにかの見間違いと心の中で言い聞かせつつ、ロゼは未だに怒って胸を隠している美女の方を向いた。

「ねえスピネルちゃん。此処って一応【混浴】って書いてあったし、これだけの状況だとまるで裸で一緒にいるっぽい感じだけど…アタシら【水着】着用してるから。だから、その胸を隠して恥じらってるポーズ止めてくんない?」

「…ちッ。アンタが本格的に変質者だと思わせたかっただけよ」

 仕方ねぇなと、ややドスのきいた声を出してビキニ姿のスピネルが腕を胸から外すと、反対側で無言のままゆったりと温泉を満喫しているシアンと紗那を呼んだ。

「折角だから、シアンと紗那もコッチにいらっしゃいよ」

「…セクハラと訴えられるのは厭だ」
「ここ、混浴しかないってのは何でですかね。あ、ちなみに私とシアンは半ズボン姿ですが、ロゼはラメ入りの紫色のピッチリとしたビキニパンツを履いています」

「履いてないから!履いてないからそんな卑猥みたいな感じで言わないで!」

 モザイクが急に下半身にかかりだしたロゼは悲鳴を上げて手を左右に振る。
 それに合わせて何処から出現したのかモザイクもユラユラと揺れた。

「履いてるのは青い半ズボンだから!モザイク消してぇぇ」

「うっさいなぁ。ちょっとオカマ、もといモザイク。黙って入れないの?これだからモザイクはもうちょっと自重しなよね?」

 パコンとロゼの後頭部にビーチボールが当たり、ロゼが振り向くと、そこには白のワンピース形の水着を着たユアが真っ赤なハイビスカス柄の2人用の浮き輪を持って立っていた。

「いや、自重すんのはアンタでしょうが…」

「ユア様、温泉というのはプールではなくて…」

 ユアの後ろから競泳用の水着を着たガイアがやってきて、ヒョイと浮き輪ごとユアを後ろから抱き上げた。

「ガイアだって泳ぐ気満々な水着着てるじゃん」
「…そうでしたね。ところで、ロゼさん…見事な胸毛ですねそんな立派な胸毛、見たことがありません」

 あっさりとガイアは肯定し、浮き輪ごとユアを再び湯の中に入れた。

 後半のガイアの台詞に反応してか、モザイクもモシャモシャと擬音語を発しながら胸の辺りまで浸食してきたのをどうにか取ろうと藻掻きながらロゼは悲鳴をあげた。

「だからさっきから変なこと言わないで!アタシ全身ツルツルだから!むだ毛ないから!!ワキも脛も完璧にツルツルだから!」

「ユアたちも温泉初めてなんだね。姫と競争する?」
「あ、いいね〜」
「…競争なら俺も」

 ワイワイと子供組は湯の中で集まってそれぞれ温泉の端まで歩いていくのを眺め、ガイアとスピネルはロゼの悲鳴などお構いなしに遠い目をしながらお互い顔を見合わせた。

「若いって良いわよねぇ」
「これくらいになると、もう穏やかに浸かっていたいですよね」
「…貴方達、私よりも若いくせに年寄りじみてますよ?」

 いつの間にスピネル達の近くまで来たのか、紗那が華奢な上半身だけ湯から出して二人へと声を掛けた。

「あんまり年を取りすぎると逆に長く浸かっていられないんですよねぇ。体力消耗しますから…」
「あ。それなら紗那、あたし秘蔵のワイン持ってきたんだけど上がって床の間で飲まない?」

 クイクイッと片手を傾ける仕草をしてウインクをするスピネルに酒好きの紗那は花のような笑顔を浮かべて頷いた。
 すると、ガイアも酒が好きなのか嬉しそうな声を出した。

「それ混ぜてもらえますか?私もユア様の了解を得まして良いお酒を持ってきたんです」
「良いですね〜紅葉を見ながら一杯いきましょう」

 遠くでバシャバシャと泳いでいる子供組を眺めながら、紗那とガイアとスピネルは好きな酒の銘柄などを話ながら既に湯から上がって飲みに行く気満々で盛り上がっていた。


 取り残されたのは段々モザイクに浸食されていっているオカマのみ。


「なに、なんなの…これ新手のイジメ?」


 もうアタシも紗那達に混じって酒飲もうかしら…と呟いていると、泳ぎが一番早かったのか魚のようにしなやかに兄の元へ泳いできた妹が顔だけ水面に浮かばせた。
 長い髪が水面に円状に広がり、ぶくぶくと泡を出しながら少女は何処ぞの有名な幽霊のような姿で喋った。

「おにいさま、このお話はお風呂でドッキリ★ネタなのです」
「…アタシは今の妹の姿にドッキリよ」
「温泉でドクドク…」
「なんか違うッ!姫ちゃんが言うと何か猟奇的な感じがするからやめなさいッ!いえ、止めて下さいッ!」

 ヒィィとロゼが悲鳴を上げると、背中越しに妹の声が聞こえた。

「お兄様どうしたの?」

 ブクブクと泡を出しながら近づいてくる黒髪の少女を正面にして、ロゼはびくりと肩を震わせて背中から聞こえてくる声に反応した。


 そう、妹は燃えるような赤い髪なのだ。
 間違っても艶やかな黒髪ではない_

「ひ、姫ちゃん?」

「お兄様、泳いでたら姫達も疲れちゃったから先に上がってるね」
「おさきに〜♪」

 背中から聞こえてくる妹の声とユアの声が遠ざかり、目の前にジリジリと近づいてくる真っ黒な髪の人物を絶望的に眺めてロゼは悲鳴を上げようとしたが、あまりの恐怖に声が出なかった。

 ブクブク…と音を立てるのを止めて、水面から出ている濡れた黒い瞳が爛々と青ざめたロゼを映し、ガシッと黒髪の主は白い指をロゼの肩に突き立てた。

「ギャアアアアァァァ」

「…鉄板ネタ、だったんだがやりすぎたか?」


 長い黒髪のウィッグを被ったシアンが冷たく言い放つと、絶句したロゼなどもう興味を失ったのかお湯から出て行ってしまった。


 露天風呂に残されたのは依然とモザイクのかかったオカマ1人。


 暫くしてオカマはブクブクとお湯の中に頭のてっぺんまで浸かり、そして露天風呂には誰も居なくなった。


+++


「いっやぁぁぁ!モザイクだけは取ってぇぇぇ!」


 叫んで涙を流しながらロゼはパチリと目を開けた。

 そこには五月蠅そうに耳に手を当てているシアンと紗那がいた。

 周りをみれば、どれも見覚えのある家具や壁。


「まったく、なに夢見てんですか」
「…モザイク?」

 そうだ…とロゼはさっきまで眠くて眠くてソファーに寝そべっていたのだったと思い出して、今見ていた悪い夢を思い出してホッと安堵の息を吐いた。

「ところで、ロゼ…明日は混浴限定なんですが温泉があるので其処に行きましょうね」
「…もう水着は用意してあるからな」


「ひっ…い、い、イヤァァァァァ」

 あれは夢なのか、それとも予知夢だったのか。

 結果は明日までのお楽しみ_

・・・・・

お風呂でドッキリ★というのをやりたかったんです。
しかし、このメンバーって殆ど野郎ばっかなので「キャー」と叫ぶ要員がオカマだけという。笑

モジャモジャしたモザイクはT●IKのノリで。。。

微妙に外した感が否めない8回目ですが、丸投げして逃走します。

頑張れ壱吾たん!

  




黒壱吾
DATE : 2009/10/18 (Sun)
No.11    【お題】第7回

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「ちょ、軍帽返して・・っ!」

If 本編ユアちゃんと軍服ユア君がもしも出会ったなら。
水面下でやってた(キャッ)チボールがサヨナラホームランした記念(何。
ハードルを上げるつもりが描きたかったものが勝ってしまいました。チィ。

花魅たん、さぁレッツチャレンジお題返し。こいこい!ヾ(゚ω゚)ノ゛

  

花魅
DATE : 2009/10/21 (Wed)

 開けてはならぬ、見てはならぬ三面鏡がある。
 もし、見つけてしまったのなら_

 埋めてしまえ。誰にも見つからないように。
 出来ることなら壊してしまえ。破片も全て見つからぬように。

 好奇心など起こさぬ事だ。

 魔法の鏡には鍵が掛かっている。

 どうしても外したければ三日月の深夜12時きっかりに。

 もし、開けたのならば_

・・・

「ユア様、そちらのアンティークは何処に置きますか?」

 届けられた荷物を幾つか運びながらガイアが荷物を解いているユアへ問いかけると、なにか考え事をしていたのかユアはゆっくりと顔を上げて指で示した。

「ごめん。それはボクの部屋に運んでくれる?」
「かしこまりました。…ユア様、それは何か手紙ですか?」

 古びた黄色い紙をテーブルに広げ、分厚い辞書を片手で握っていたユアはガイアへ頷いた。

「そう。そのアンティークの鏡についてた手紙なんだけど、ガイア。その三面鏡を絶対に開けないでね?」
「え、ええ。決して開けません。お約束致しますよ」


 しかし…と少し重たい三面鏡を傷つけぬように運びながら執事は主人の言葉を反芻して疑問が頭に浮かんだ。


「鏡なのだから映さないと意味がないのでは…?」

 開けるなと言われれば少し興味が湧いてしまう。
 ふいに鏡を開ける扉に手を伸ばすが、少し力を込めても開くことが出来なかった。
 残念な気持ちと、主人の言葉に背いたことにほんの少し罪悪感を持って、ガイアは古びた三面鏡がユアの部屋へと運び終えた。


 そしてその晩、ユアは三面鏡の前に立っていた。


 肩を出す形の寝間着は夜の空気には少し寒い。

 それでもユアは壁の時計の秒針を数えてながら、鏡の扉に手を掛けていた。


 11時59分36秒。

 ドキドキと鼓動が早くなるが、それでも指先は扉の取っ手に掛かったまま。

 11時59分43秒。

 あんな古代文字で書かれた手紙、果たして本当なのだろうか?

 11時59分57秒。

 何が起きたって構うもんか。

 そして、12時00分。
 ユアは息を止めて扉へ力を込めると、重かった扉はあっさりと開き、張りつめた表情のユア自身を映し出した。


 寝具の近くに置いたランプの明かりが部屋を僅かに照らし出す。

 鏡に映っているのはユア一人きり。
 黒い帽子にきっちりと着た黒い軍服。
 蜂蜜色の髪に、緑色の大きな瞳。

 …軍服?とユアは己の足下を見る。
 同時に鏡に映った自分も己の足下を見る。

 足下は細い白い足に黒い短パン、上着は肩がはだけるデザインの黒い服。

 もう一度ユアは鏡を覗く。

 矢張り、鏡の中のユアも驚いた表情を浮かべて軍服姿で此方を覗く。


「「な、なにこれ?」」

 バッと鏡に手を合わせるが、鏡はひんやりとする感触かと思っていたのに同じ体温の手の平の感触が手に伝わってきて、ユアは悲鳴を上げた。

「「だ、だれ!?」」

 ユアの悲鳴にガイアが気が付いたのか部屋のドアを激しくノックする音が聞こえた。

「ユア様!どうされました!?」

「「ガイア!!」」

 グラリと、手の平にかかる重さが更に重なりユアはバランスを崩したが、もし今ガイアがこの鏡に映ってしまったら大変だという思いが真っ先に頭に浮かび、自分と同じ手が2本、同時に鏡の扉を閉める。

 そして、ユアの応答を待たずガイアはドアを蹴破って入ってきた。

「ユア様ッ!?」

「「ガイアッ!」」

 ドアのすぐ傍にあるスイッチを押し、部屋が煌々と照らされ全てが明らかになった。


 扉の閉まった三面鏡の前に蹲っている2人のユアが、ガイアへと安堵の表情を浮かべていたのだ。

「「ボ、ボクがもう1人いるッ!?」」

 同時に喋り、同じ声が部屋へ響く。

 軍服姿のユアは驚愕の表情を浮かべてもう1人の自分の頬を触る。

「なにこれ…?」
「それはこっちの台詞だよ」
 どこか違う自分へ触られてユアは軍服姿のユアの帽子をヒョイっと取った。

「ちょ、軍帽返して…ッ!」

「やだ」

 あっさりともう1人のユアへ告げて軍帽を被り、後ろで固まったままのガイアへユアは笑った。

「ねぇねぇガイア。どうどう?似合う?」
「やー返してってば」

 ガイアの目から見ると2人のユアはどうやら若干性格が違うらしい。
 軍服を着たユアは少し物怖じしていて、ガイアを見る目がいつもと違う。
 軍帽を被ったユアは紛れもなく、自分が仕えている主人だった。

「お似合い…ですが、あのこれは一体…?」

「真夜中12時きっかりに鏡を覗き込むと何かが起こるって手紙に書いてあったから試してみたら、今の状況になったみたい。ほらほらーこっちだよー?」
「あぅあぅ。ガイアに怒られちゃうから返して」

 ヒラヒラと帽子を振りながらもう1人の自分をからかって、ユアはガイアの背中へと逃げた。
 もう1人の軍服を着たユアもガイアの正面に立ってユアへと抗議する。

「ゆ、ユア様が二人…」

 ちまちまとした金髪がゆらゆら2つ揺れている。
 背中にもユア、正面を向いてもユア。

「今なら死んでも構いません。むしろ本望です…」

 可愛いユアと、軍服を着たなかなかレアなユアに囲まれてガイアは弛む口元を押さえて呟くと2人のユアから別々の答えが返ってきた。

「主人置いて死ぬとか言わないでよね?」
「が、がいあはボクの主人なんだからしんじゃだめ!」

 軍服姿のユアから零れた言葉にガイアは吃驚して目を見開いた。

「は…?私がユア様の主人…?」
「そ、そうだよ?ガイアはボクの主人だよ?」

 軍服の裾を握ってユアが涙目になりながらガイアへと更に追い打ちをかける。

「お前は俺のモノだっていつも言ってるじゃない」
「わ、私が…?」
「い、いつも…行為の最中に言ってるじゃない…ほら、ね?」


 ああ、夢だ。これは夢だ。そう呟いてガイアはパタリと失神した。


「ちょ。ガイア、何勝手に失神してんの!?」
「わー!?ガイア、ガイアどうしたの!?」


 倒れたガイアを二人のユアが揺さぶるが、ガイアの意識は遙か彼方にあるようで目覚める気配すらない。そんなガイアへユアは溜息を吐き、もう一人は心配そうにハラハラと見守り、お互いの顔を見た。

「なんか起こしても、また倒れそうだし放っておこうか」
「…うぅ、いつものガイアじゃないみたいだし。そうだね」

 シンプルな黒い服を着たユアはヒョイとガイアを片手で抱えるとそのまま自分の普段使っている寝具へ倒し、もう一人のユアへ問いかけた。

「さっき、主人がガイアとか言ってたけど…なにそれ?」
「そっちこそ…ボクが主人なんて、凄いこと言ってたよね?」

 同じ顔で、全く正反対な言葉を問いかけてくる自分にユアは顔をしかめた。

「うーん。ボクはユア。ガイアの主人で、ガイアはボクの唯1人の執事なの」
「ぼ、ボクもユアって名前で。ガイアはボクの主人で、ボクはガイアの唯一の僕なの」

「「言ってることは似てるけど、決定的に違うねボク達」」

 兎に角、同じ顔で同じ名前でも違いはあるのだ。そう2人は結論づけた。

 多分原因は「三面鏡」なのだろう。あの鏡を見て、同じ顔をした自分がやってきたのだ。そうユアは考えを巡らして、再び三面鏡へと身体を向けた。
 鏡の反対側からやってきたユアも同じように閉じた三面鏡へ顔を向けて、同じ事を思ったのか同時に小さく頷いた。

「やってきたんだったら_」
「また同じ事をすればいいんだよね_」

 ゆらりと立ち上がって二人同時に三面鏡の扉を開けようとするが、どんなに力を込めても、反対側のユアの怪力を持ってしてもビクともしなかった。

「どうしよう?どうしよう開かないよ!」
「…落ち着きなってば。えっと、確か…12時ちょうどになれば開くんだから
明日の12時にもう一度やってみれば良いんじゃないかな?」

 そんなッ!と軍服姿のユアは両手を頬に当てて嘆いたが、もう一方のユアは仕方がないよと割り切った様子で、まぁこういうこともあるよと無情に告げた。

「ガイアに怒られちゃう〜ッ!」

 ガイアーッと泣き始めるユアの耳に、微かに自分の名を呼ぶ声が聞こえた。
 もう1人のユアもその声が聞こえたのか、耳を澄まして反対側の自分を見つめる。

「鏡の向こう側から聞こえてきてるっぽいよ…?」
「が、ガイアッ!」

『ユア、何処だ?』

 閉じた鏡の向こうから、やや低めのよく知った声が聞こえてユアは名前を何度も何度も呼んで、叩き始めた。

「此処だよ!ガイア!」
『まったく…俺から逃げられると思ってるのか?』

 そう冷たく告げる声は紛れもなくガイアの声だった。

 そんなガイアの口調に慣れていないもう1人のユアは少し頬を赤らめて扉の反対側からの声を静かに待っていた。
 すると、どんなに引っ張っても開かなかった扉がゆっくりと開き始めた。

「莫迦だなお前は_」
「ガイアッ!」

 一瞬だけ、鏡の中から黒い軍服を身に纏った蒼銀髪の青年が見えてユアは息をのんだが、もう1人のユアは何の躊躇いもなくその青年の胸の中へと泣きながら飛び込んでいく。

「もう何処にも行かないから!」
「当たり前だろうが_」

 2人が鏡の中へ吸い込まれるように消えていくのと同時に再び鏡の扉は重い音を立てながら閉じていった。


 もう部屋にいるのはユアと倒れて眠ってしまったガイアの2人だけとなった。


「か、かっこいい…」


 一瞬だけだが、軍服姿のクールなガイアが拝めたのだ。
 この寝具の上で伸びているようなヘタレには一生有り得ないような格好良さだった。


 ふむ。口元に手を当てて、ユアは伸びているガイアを見下ろして冷たい微笑みを向けた。


「明日は朝一で黒い軍服一式を取り寄せようかな?」

 勿論、中身はヘタレだが見た目が一番なのだ。

 自分もお揃いにしてみたらどうだろう?と、先程まで隣にいた自分の姿を思い出してニヤリと今度こそ鮮やかに笑った。

「主従揃って軍服コスプレもたまにはイイよね?」

 だって、自分にだってとっても似合っていたんだから。
 そう囁いて、まだ返していなかった軍帽を指でクルクルと回してユアは三面鏡の取っ手に軍帽を掛けた。

「今日は良く眠れそうだよ。お休みガイア。ボクの隣で良い夢を_」


 それから暫く経った深夜12時、何度開けようとしても反対側から何か巻き付いているのか絶対開かないようにされていたので、ユアは溜息を吐きながら再び骨董商へと三面鏡を返品した。

 ほんの僅かに残念そうな表情を浮かべて、骨董商へ囁いた。

「この三面鏡はね_」

___


花魅です。
水面下でやっていた鉄板ネタ「ある人物が」パラレルワールドに放り出されてしまったらどうなるか。というものをやっていたのですが、その話とはまた異なる展開をしてみました。

私達がどれだけ軍服というコスチュームが好きなのかが分かりますね★


それでは、次回。私の番ですので、なにか別の趣向取り入れたいと思います。
お読み頂きありがとうございました。





黒壱吾
DATE : 2009/10/11 (Sun)
No.10    Re:【お題】第6回

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王様と女王様は8年間だけ幸せに暮らしましたとさ。
でもその8年の間もずっとガイアはユアを想い続けていくんだろうななんてちょっと泣ける話を想像したんだ・・。

けど、っていうかそれだったらユアちゃんを8歳分成長させるとかすれば良かったんじゃ・・?なんてちっちゃいことは気にしない^^。
そしてハタチなユアちゃんを描きはぐった残念感。ぐふん。
花魅たん、メルヒェンお題をありがとう!性転換とかサラッとやってのけてたのが実はミソなんだと勝手に思ってます!←
さすが花魅たん!さりげなくものすごいことをやってのけた!そこにしびれる憧れるゥ!

次のお題はそろそろハードルを上げてもいい頃合かな(・∀・)ニヤニヤ

  




花魅
DATE : 2009/10/03 (Sat)
No.9     【お題】第6回
 ある国の御伽噺。
 昔々、あるところに貧しいガイアという青年がいました。
 青年は特に不満もなく、細々と暮らしていました。
 そんなある日、質素なドアを壊して魔法使いが家に入ってきました。

「こんにちは。私はこの国の宰相をしています魔法使いの紗那です」
「…魔法使いって普通おじいさんやおばあさんじゃないですか?」

 内職の手を止め、ガイアが壊れた扉を見つめながら紗那へ言うと、今度は持っていた杖で家の床をぶち抜きました。

「良いんです。年齢的にも人選的にも私以外魔法使い役は無理ですから」

 ああ、それにしても貧乏ですねぇと魔法使いは嘆いて見せた。

「こんな壊れた扉、壊れた床の上で寒さに震えながら慎ましく暮らすとは…!しかしそんな貴方に朗報です。なんと!実は貴方は此の国の王様と侍女との間に出来た隠し子だったのです」
「はぁ…」
「王様は他に子供が居ませんので強制的に今日から貴方は此の国の王様になりました」
「は…はぁッ!?王子じゃなくて王様ですか?」

 怒濤の展開についていけず、ガイア青年はポロリと内職の造花をテーブルに落とすと、魔法使いはゆっくりと頷きました。

「昨夜、王様はこっそり旧式の蒟●ゼ●ーを食べて喉を詰まらせて…そのままお亡くなりになりました」
「…この国の行く末が本気で心配になりました」
「そういうわけで、王様。お城に行きますよ」
「そ、それは強制連行ッ!」
「まぁまぁお詫びに1度だけ御願いぐらい聞いてあげますから」

 そう言うと魔法使いはやたらファンシーな杖を振って呪文を唱えて、辺りの景色が霞み、あっという間にお城の中に二人はいました。

「教えたいことは山ほどありますが、王様。今宵は貴方の戴冠式です。ついでに未来の奥様も決めて貰います!」
「サラッと私の人生設計を決めないで下さい!」

 青年の抗議も空しく、あれよあれよという間にメイドさん達に風呂に入れられ、着替えさせられると青年は立派な美男子に変身しました。
 その変身に満足げに頷くと、魔法使いは歩き慣れない服を着た青年の手を引いて立派な扉を開きました。
 すると、そこは舞踏会の会場となっていました。

「うっわ…私が居てはいけない雰囲気なので帰らせて下さい」
「貧乏性ですねぇ。でも逃がしません」

 ガシッと肩を掴まれ、これまた贅沢な造りの椅子に座らされた青年の耳元へ魔法使いは手に持った書類を見ながら囁き始めました。

「それではお嫁さん候補その1。かなり露出した黒のドレスを着た美女が見えますか?あちらは隣国の王女、スピネル姫です。毒蝮、毒の美女という童謡まで作られるほどに、ありとあらゆる毒に精通していらっしゃいます。ちなみに今まで4度結婚されていますが初夜で旦那が死んでしまったという悲しい過去をお持ちです」

 紗那の声が聞こえたのか、着飾った美女は艶美な表情で長いドレスの端を掴み優雅にお辞儀をしてみせた。

「候補その2。スピネル姫の横にいるのが深紅の美少女、薔薇姫です。少し離れた国から来ていますねぇ…趣味は拷問器の開発と実際に罪人を拷問にかけることです。こちらはまだ嫁がれた経験は無いようですよ」

 こちらの視線に気が付いたのか薔薇姫は唇に指を当てて微笑んでいる。

「…あきらかに私が被害者になりそうなのでパスです」

 そうですか、それでは趣向を変えましょう。と魔法使いは書類をバサバサとめくり、無表情な顔で喋り始めた。

「それでは候補その3。薔薇姫の兄君のロゼ姫です。趣味は女装ですが、政治にも外交にもその能力が高いと噂されています」
「カマなんぞパスだパス!」

 激高しているガイアの目の先ではオカマが身をくねりながら投げキッスをしていた。
 その横ではひたすらテーブルに置かれた食べ物を食べ尽くしているワイルドな黒髪に眼鏡姿の姫が居た。

「…うーんそれでは候補その4。オカマの隣にいるのが遠い遠い東の国からきたシアン姫です」
「…説明は?」
「まぁ、なんていうか嫁がれたらウチの国の食料全部喰われそうですねアハハハハ」
「前々から突っ込みたかったんですが、最初の二人以外全員男じゃないですか」
「大丈夫です。その場合、養子を入れることで国は安泰します」
「色々と突っ込みたい!」

 紗那とガイアが言い合いをしていると、おずおずとガイアの座っている椅子に近づいてくる金髪の美少女がいた。

「は、はじめまして。ボクはユアっていいます」
「あ。はじめまして」
「今日はお招きいただいてありがとうございます」

 フワフワの白いパーティードレスの裾を掴みながら顔を赤らめているユアにドキドキしていたガイアだったが、紗那がその耳にポツリと呟いた。

「少し離れた国の第一王子、ユア王子です。若干12歳ながらも健気、ですよねぇ?」
「…くッ。この子を選んだ瞬間、私は稚児趣味の変態王と言われてしまうのですね!」
「…性別はもう拘らないんですか」

 むしろお仕えしたい…と悶々として、ようやくガイアは顔をあげてユア王子の白い小さな手を握った。

「あと8年経ったらもう一度来て下さい!」
「8年?うん、わかったよ」

 約束だよーとユアは大きく手を振って再び舞踏会の中へ消えていく姿をニヤニヤしながら見送っていると、紗那の冷たい声が聞こえた。

「私は今宵決めて貰うと言ったんですが?」
「毒使いに拷問吏、オカマに大食いに小学生…これで選べと言うのは拷問ですよ」
「選べないというのなら、私が選んであげましょうか?」

 暗い微笑みを向けると、何故か王様は余裕の表情を浮かべて指を一本出した。

「…なんです?」
「1つだけ願いを叶えると貴方は言いましたね?」
「ああ、そういえば言いましたねぇ」
「今、その願いを叶えて貰いましょう」

 ビシリッと指を突き付けて椅子に堂々と座って王様は魔法使いに言いました。

「女になりなさい」
「…は?」
「女になりなさい」

 何を言い出すのかと不思議そうな顔をして魔法使いは変身しました。
 銀髪の長い髪、兎のように朱い瞳の子供と大人の境目にいるような少女の姿が現れると王様はお妃様にプレゼントしなければいけない指輪をあっさりと少女の指に嵌めてしまいました。

「なっ!?」
「男色の気もありませんし、殺されるのもまっぴらゴメンですので、結果こうなりました」
「宰相なのに王妃って意味がわかりませんよ!」
「まぁ8年ほど頑張っていただければ直ぐに結婚解消しますので…」
「男色の気が目茶苦茶あるじゃないですか!」

 そんなこんなで、デレが何処にも見当たらないツンドラ王妃様と貧乏性の王様の国は以前より着々と復興していきました。

 めでたし、めでたし?

____

紗那とガイアのツーショットってあまり無いなぁと思ったので★

メルヘン、どうしても可愛いメルヘンが書けません。

ガイアが寝ている横でユアちゃんが童話を読んであげていて、夢に出てきてしまったら…というのが発想でした。
普通に微睡む二人でも書けば良かったと書き終わってから気が付いたぜ★

そんなわけで、あとは宜しく頼みます!